ベルエキップは、
なぜそんなにメーカにこだわるか?
私、遠藤は出来るだけ買っていただく方に後々良いと思うバイクに乗って欲しい。
今はいろんなメーカーがあるが、日本、イタリアを問わず生産は台湾や中国だったりする。
私が昔、4年間(たった4年だが衝撃的!)のヨーロッパのレースを通じて実感したのは、
レースの現場で良いといわれるブランドはトラブルがあるとすぐ対応して、そこを修正してくれて、
更なるグレードアップを目指しているところばかりだ。毎日すなわち常に向上していると言うことだ。
トラブルがあっても無関心だったり、遠い国の出来事だったりと言った対応では良いものは出来るわけが無い。
良い例をとるとGIANT
ここは1998VUELTA(ツールドスペイン)でのこと初めてヨーロッパのチームへの供給を開始した年。
その時オンセに供給していたGIANTはエースのジャラベールのために超軽量バイクを用意していた。
そのジャラベールが山岳ステージの前日のこと、ステージの途中にわざわざ止まって試作の軽量バイクに乗り換えてテストした。
このとき6.7キロの重さだったがジャラベールは上り性能と軽さは満足だったが、下りの性能に納得しなかったようで、実際翌日に使われる事は無かった。メカニックとして驚くのはその後だった。
台湾からそのために専属の技術者(台湾人の製造責任者)がオンセチームと同行しており、
その彼が新しいフレームを、1週間ほど(実質3日)でまたジャラベールのために運んできた。
全く新しく作ったとのことで、その新しい技術を極めようとする姿勢、スピード感には本当に驚いた覚えがある。
その対応の素早さと製品の欠点を受け止め、次に進んでいく素直さに感動した。
そんなジャイアントは今は世界2位の販売量のメーカーになっている。(生産量は一位)
日本で働いていた時はただの台湾製と思っていたが、その事があってからはすっかり見直してしまった。
いまやジャイアントなくしては世界の自転車産業が成り立たないまでになっている。
悪い例はここではメーカー名は言えないが、あるメーカーは石畳のレース初日で一日で3本もカーボンフォークが折れた。
メーカーがいうには現場で実際に折れているのに「そんなことはありえない」とのこと。
その後もこのメーカーはレースのTVライブ中にフォークが折れて選手が鎖骨骨折することにもなった。
トラブルは良いフレームを作るチャンスだと言うことを全然解っていない。
溶接部の弱さ、パイプの剛性不足、接合の弱さ。こういうメーカーはヨーロッパではTVの前で白日のもとに出てしまう。
ポストスイスのときのタイムはそういった面では素晴らしいメーカーだった。
というよりフォーク交換一本も起きなかったので、スペアフォークを持たないくらいだった。
以上はほんの一例だが、選んでいるブランドはどれもそういう事情を知っているからで、塗装がきれいとかただ単にカーボンだとか、有名、流行という次元では選んでいない。
長く乗って丈夫で、走りも優れていて、安心できるものを選んでいる。
適当に人気のあるメーカーを安く売るほうが簡単だが、乗り込んで、色々知ってきた後に後悔しない、しかも走った感じが素晴らしいと感じてもらえるメーカーを特に厳選している。
”売りやすいから売る”のではなく、売りにくくても良いものを勧めたいと思っている。
近年はメーカーが契約という名目で数量、設定金額分を買えという場合も増えてきた。
つまりメーカーの言い分の金額を買わないとお宅には今後売りませんという商法。
欲しくもないものを買わされて。でも売らなければいけない。
これ最低。こういうメーカーとは契約していません。
契約ショップも生活がかかっているのでとにかくノルマをこなす事が最優先されて、乗る人の立場になって
選択するのは難しい世の中になったようです。
なのでベルエキップでは開店したときからノルマがあるメーカーは扱わない方針で販売しています。
2001/8